僕は手術が出来ない獣医さん

動物行政、動物愛護、殺処分等について、動物愛護センター獣医師としての勤務経験を通して感じたことをつらつらと。あとはフォトグラファーとしての活動もつらつらと。

動物愛護センターを退職して約1週間

殺処分を減らしたい、幼少期に抱いたその思いを胸に大学に進み、気が付けば獣医師国家試験に合格していました。

そして、自分にとって縁もゆかりもない地で、公務員獣医師として働くことになりました。僕の最初の勤務先は保健所の食品部門。大学で食中毒関係の研究をしていた僕は、大学で学んだことが活かせると、燃えていました。しかしその半年後、動物愛護センターに異動となり、ついに「殺処分」に関わる職場で働くことになりました。

動物愛護センターは、しんどさとやりがいの両方を兼ね備えたような職場でした。そこで僕は存分に自分の色を出し、そして最後は動物愛護団体からの猛攻撃を受け、3月いっぱいをもって退職しました。

僕の出勤最終日、色々な思いにふけりながら仕事をしていると、ミニチュア・ダックスフンドを連れた男性が窓口にやってきました。過去、僕が里親探しに関わった犬と、里親になってくださった方でした。毎年必ず、ワンちゃんと一緒に元気な顔を見せてくれます。僕が退職をすることを告げると、「そうですか。。。年に1回の楽しみがなくなるなぁ。。。最後にお会い出来て良かった。。。」と、涙を流してくださいました。僕はその犬をなでながら、必死で涙をこらえました。

その後も、僕の退職を風の噂で聞いた人が会いに来てくれたり、電話をくれたりしました。里親さん、警察官、市役所の仲間、獣医師の先輩方。僕は、たくさんの仲間に支えられながら働いていたのだと痛感し、感謝の思いが溢れました。

そして17時30分になり、窓口のカーテンを閉めると同時に、僕の約5年間の動物愛護センターでの仕事は幕を閉じました。その瞬間、幼少期からの夢を叶え、動物愛護センター獣医師としての勤務し、今この瞬間をもってそれが終わるのだと、実感しました。

これを書いている僕の横には、仲良く身を寄せ合って寝ている猫たちがいます。動物愛護センター在職中に引き取った子たちです。彼らの寝顔を見ながら、忙しくも懸命に小さな命と向き合った日々を思い出します。

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我が家の猫たち。みんな仲良し。

 

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